誕生日に
どこへも行かなかった
髪をくしけずらなかった
うねるにまかせた
口紅をぬらなかった
洗いざらしにしておいた
たいていの人がしみだと呼ぶ
頬にちらした点々を数えた
　 (およしなさい、数えることなんか
　　ああ、だけど人は数えてしまうものなのね）
ありのままのわたしを
さがす旅など
なんの意味があったのだろう
誕生日に
鏡の前にいた
とおまわりをして
そこにたどりついた

誕生日に
階段を登らなかった
踊り場にいた
見えないろうそくにむかって
大きくひとつ息を吐いたら
肋骨が
みしっと　きしんだ