May
itukamitaniji

May

昨日まですっかり乾いていた 心に雨が降り注いで
あっという間に 大きな大きな海になったんだ

君は座り込んで途方に暮れ どのくらい経っただろう
そうして初めて 遠くまで来たことに気付いた

これまでの景色を 思い出そうとしてみるけど

記憶ってのは驚くほど曖昧だ 何度も何度も心に描いてみても
それはもうこれまでの どんな景色とも違ってしまうんだ


頼りなく引かれた 過去と未来を分かつ線の上
ふらふらとよろめきながら 君は歩いてみる

足跡は残るけど すぐに波が押し寄せて消してゆく
自分が居る場所は たちまち分からなくなってしまった

ここは何処だろう? でも自分で望んで来たはずだろう?

分からないのは当たり前だ だって初めて来た場所だろう
君が心に描いてきた どんな景色とも違う場所なのだから


昨日まですっかり乾いていた 心に雨が降り注いで
あっという間に 大きな大きな海になったんだ

君はそのほとり ようやく小舟を作って漕ぎ出そうとしているところ


自由詩 May Copyright itukamitaniji 2014-05-14 14:30:42
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