暮色
織部桐二郎

手袋の忘られてあり
五月の駅に終列車過ぎ
暮れ果てて草の匂へる
誰かあるいらへのなくも


手袋をとりて見つむる
をみな……忘れ……
古りし駅もだせり
夜鳥ささやく新月や


ふと去りし想びと……
春野に遊ぶ束の間の……
まなかひの影にかたりつ
手袋に……口づけ……泪……。


自由詩 暮色 Copyright 織部桐二郎 2014-05-08 05:05:16
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