地球の先でノックダウン / ぼくは想像する太いモヤシだ
beebee




ぼくはズンズン身長が伸びて来て
視界が俯瞰して行くんだ。

小さな町の煙突を抜け
東京スカイツリーを抜け
視野が120度、180度、、、、360度に成った。
ついに雲を抜けると遠くで富士山が手を振ってくれる。

ぐんぐん、ぐんぐん、ずんずん、ずんずん。
大気圏を抜けると太陽の紫外線に頭がくらくらするんだ。
人工衛星が頬を引っ掻いた。
眼をつむって背を伸ばして行くと
横向いていた月が慌てて正面を向いてくれた。
でも、ぐうわぁあん、追突した。

モヤシより細く伸びて来たぼくはポキリッと折れてしまう。
イヤーんと叫ぶ暇もなく急降下する視界。
赤道を跨いでアフリカに頭が落ちて行く。
飛んでいるコンドルを左目に流しながら
アフリカの大草原に墜落する。

(コンドルはアフリカの大地を飛んでいるのか)

ズッポ、頭が突き刺さって
日本の千葉から遠くアフリカに橋が架かった。

果たして、ぼくの首筋について宇宙を飛んだやぶ蚊は
アフリカの野生に同化出来るのだろうか、なんて
どうでもいい話が頭の中をぐるぐるまわって
サバンナの下から眩しいアフリカの太陽を見上げていた。

眼が覚めるとぼくは縁側に頭を出して眠っていた。
今年の五月の連休最後の日はとてもよいお天気で
よくこんな明るいところで眠れるもんだと思う。

だから、やっぱり、ぼくは
幸せな頭でっかちなモヤシなんだ。
ちょっと太いモヤシだな。
いや、ずいぶん太いモヤシだ。



自由詩 地球の先でノックダウン / ぼくは想像する太いモヤシだ Copyright beebee 2014-05-06 14:15:51
notebook Home 戻る