どうでもいいことについて
ichirou


とうとう左手小指の爪半月が
消えた

何の不具合もない
誰も知らない私の体の変化

どうでもいいことだ
でも
こんなことでも
ずっと憶えている
自分にとって
どうでもいいことは
結局忘れられないということ


例えば
去年の6月にオオスカシバを見かけたとき
パンツいっちょのおっさんの妖精だと思ったことがそうだった
結局一年近く経っても忘れていない

年を食って大切なことを忘れるくせに
パンツいっちょのおっさんの妖精など
どうでもいいことを憶えている

こんな合理的じゃない
記憶の仕組みは
正に
どうでもいいことだ
そして
私の人生の2割強は
どうでもいいことが占めている


ところで
右手の小指の爪半月だが
あと0.5mmぐらい残ってる

どうでもいいことだが










自由詩 どうでもいいことについて Copyright ichirou 2014-05-06 01:51:28
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