新しい仲間
ichirou
我が社に知的障害持った青年が入社した
長い期間研修で頑張って入社した
彼は我々の新しい仲間だ
18歳の彼は真面目で優しい
彼を見ていると
健常と障害の違いは紙一重だと思う
彼の入社式にご両親が来られた
彼よりも緊張した面持ちで笑顔は全くない
私はこんな不安な顔を見たことがなかった
自分たちではどうにもならない息子の将来を
彼自身と
この社会にゆだねるのである
私はこの社会の一員として
会社の仲間として
何ができるか考えるも
分からない
ただ分かることは
従業員が50名を越える企業が1名の障害者を雇うことが
義務を果たしていることにはならないということだ
昼休み
昼食を終えた彼が事務所で独り静かに文庫本を読んでいる
皆はまだ食堂で馬鹿話などしている
彼は微笑み本を読んでいる
私はそんな彼を見ていて
彼が
いつしか恋をして
結婚して
子供ができ
楽しく暮らしていることを想像した
そして
この社会の差別や偏りに彼が負けないことを
ご両親は願っているのだろうとこの時感じた
あと数ヶ月もしたら
彼も食堂で馬鹿話の中に入っているだろう
うちの連中はいい奴ばかりだ
私は彼の相談相手になれるくらいの
知識を持てるように勉強をしてみようと思う