なごり雪
大覚アキラ

走り去る青い車の
テールランプながめながら
流線型の感情を抱きしめる

どうせ終わったことだから
もう悲しむことにさえ意味はない

遠雷が
湿った空気を震わせる

瞼の裏側で
すべり台の上で翻るスカートが
フラッシュバックする

何回も

何回も

川沿いの砂利道には
この冬最後の雪が降り始めていて
たぶん三時間も経てば
あの薄汚れた砂利道は
白く美しく埋め尽くされるだろう

おねがいだ
誰も足跡をつけないでくれ

どうか

おねがいだ


自由詩 なごり雪 Copyright 大覚アキラ 2014-03-19 22:15:18縦
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