サイレント
銀猫


夜中
叫ぶ蝉
かなしい程
我を嘆かない
例えばサイレン
そうして来る災禍
気付いていないのか
誰に聞かせたい?
誰を救いたい?
七年の歳月に
何を知った
痛むのは
何処だ
(お前)
森に
透明な
くろい雨
が、滴る時
諦めが滅びが
ひたひたと迫る
希望の意味を知る
有限の訳を知る
立ち入り禁止
の、ロープ
風に揺れ
揺らぐ
(日々)
遠く
流れて
行くもの
腐蝕を持ち
空に舞い散り
再び地に落ちて
次の夏に羽化する
蝉の眠りを蝕む
異郷の樹液を
味わうとき
サイレン
響いて
いる

サイレン鳴り止むとき訪れるサイレント







              



             * 同人詩誌「反射熱」第九号に掲載。


自由詩 サイレント Copyright 銀猫 2014-03-11 20:31:40
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