悲歌
織部桐二郎

あなわが君はいと雅び
篠笛に唐の秘曲を美はしく
衣も艶やか位もあてに
おとどの御子とおはすなり


さる年のさる冬なりき
雪の中道失ひて伏し給ひ
わが山がつの小屋にして
心ばかりの手当てせり


さはれわが身は雪の子ぞ
人に触るれば溶け散りぬ
わが君われを抱けどもあはれわれ融け失せにけり


あなみ仏や見そなはせ


雪女をば人の世に
公達ひとり添はしめよ
とはの命も惜しからず


自由詩 悲歌 Copyright 織部桐二郎 2014-03-06 05:34:16
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