サークル「群青」 課題「紫」 『赤と青の間』
木原東子


お喋りして良いかしら
もしもある女性が心は男性だったとして
でも同時によ
同性愛者だったとして
男性を愛したとする
すると
そとからみれば普通の異性愛者と見えるでしょう?


北欧の国にオルフェウスのしもべたちという名の
男声合唱団があるんだけどね
もう、総勢50人くらいも

きっかりと扇形にならんだ黒燕尾服
白いカラーと
意外な事にけっこう様々な顔の色、髪の色
カメラは見栄えの良い団員を見つけては
我々をうっとりさせてくれる

で、その男声50人の指揮者は?
紫紺色のスーツの細身で小柄な
カールした黒髪の
素顔の女性。

その対称にショックに近いものを感じたわよ
彼女の指先ひとつで
屈強のバイキングの末裔たちが
じっと見つめながら指示に従い
全力でそれに応えて
それぞれの音を出すのよ



後半になり
背の高い
紫色のドレスをひきながら
生まれつき陶磁器のような肌をして
ソプラノを発する人物が登場するじゃない!

何であるかは知らないけど
これは女性そのもの

最後の歌には参ったわよ
言葉は無くて
阿の音だけで彼女は歌う
絶え間なく延々と

男声はくぐもった抑えた声で
もやのように声を発する
それはひょっとして何かを想像させない?

賛美歌なのだそう
玉を転がすような
絶え間ない賛美の声
神とは快楽物質なのか


すっかり混乱しちゃったわ

この連中のやってみせるのは
何だ!
とてもほどけるものじゃない!
人間ってややこしいな!


自由詩 サークル「群青」 課題「紫」 『赤と青の間』 Copyright 木原東子 2014-02-27 14:12:09
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