芒野原
こしごえ



あちこちゆらゆらゆれるしろがね
原っぱで ぽつんとひとりそよぐ
手の中のまるみをおびた小石が
ほんのりあたたかい
地面の土は黒く底はなく
白い息 宙へ解ける明滅
山脈の稜線の縁は青空に映える雪化粧
かわいた風がほほをなぜてゆく

ふきわたる風のささやき
沈黙している手の中のまるみ
終わりの歌を歌う芒野原
耳をかたむけてかんがえる小石の
きおくはよみがえる
地面はお墓
白い息の
秋のしずかな光に染まる

すこしさっくりとした ななめの
光と光と
きこえてこない声を放ち
山なりをえがいた小石の
黙想する秋空
しずけさのみちみちて風の通りすぎる
手のひらがつめたくなる

その時
なげられた小石が落ちた辺りから
さようなら
ときこえた
故にその方へ黙礼をした
生まれて初めての別れであった
つぎにあう時は、わたしも
芒野原でなげられる
水の惑星の自転しているうちに
さかいめもなく影は闇に透ける















自由詩 芒野原 Copyright こしごえ 2014-02-27 13:15:50
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