ParaParaInferno
佐々宝砂

野太い声が
きれいな顔の整った唇から出ていた。
好きじゃなかったので
特に気に留めもしなかった。
ただ名前だけはちょっとイケてた。

死か、生か。

踊るのもあたしは好きじゃなくて
壁の花にすらにならなくて
カウンターで飲みほすウオッカライム。

連中が踊ってるのはパラパラ。
そう確かに
パラパラって言ったと思うけど。
記憶っていうのはいつも怪しい。

パラパラパラ。
結局みんな崩れてゆくのだ。
パラパラパラ。

野太い声の持ち主の顔も。
泡ぶくみたいな恋も。
泡ぶくみたいなお金も。
泡ぶくみたいに。
あんまりみんなそういうから
あれは泡ってことになってるんだよね、
あああたしって凡庸だな。

パラパラ。
崩れてゆく顔から
これだけはかわらない声がひびく。

死か、生か。

ああ結局
あのひとも生きているんだね。


(for Pete Burns)


自由詩 ParaParaInferno Copyright 佐々宝砂 2014-02-16 08:55:35
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