十四の夏に獅子を背負った(即興)
虹村 凌

彼は 十四の夏に 獅子を 背に背負った
と 言う
かもめが 一羽 仲間とはぐれて 波間を 漂っていた
と 言う
もう一度 言う
彼は 十四の夏に 獅子を 背に背負った

かもめが 好きだった
早く もっと 早く
風を切って 潮風を切って
飛んでゆく かもめが 好きだった

彼には 両親が いなかった
だから 彼は 背に 獅子を 背負った
と 言う
彼には 弟が いた
しかし 彼は その弟が 何処にいるか 知らない
彼は 弟が 何処にいるか 知らない
彼は その弟を 肩に背負った
と 言う
もう一度 言う
彼は 天に昇る龍を 肩に背負った

かもめが 一羽 見えるよな
波の 間に 見えるよな
かもめ かもめ かもめ
真っ白な かもめに 明日 なろう




真っ白な かもめに 明日 なろう


自由詩 十四の夏に獅子を背負った(即興) Copyright 虹村 凌 2005-01-16 19:47:39縦
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「うにいくら丼」