葡萄酒の晩餐
服部 剛
御褒美の、早いひとがいる。
御褒美の、遅いひとがいる。
人生の開花予報はいつなのか?
そんなことは、知ったこっちゃあないのです。
(明日は明日の風が吹く)
と誰かさんが言ったっけ。
(明日を思い煩う勿れ)
と誰かさんが言ったっけ。
時を織り成す者は
人の思いを遥かに越えて
(あなたと私)の間に、吹き渡る
あの風だと――
知った日
僕がこの世に生を受けてから
一万四千分の、一である今日の日に
(私とあなた)の縁の不思議を思いつつ
親しい友と杯を交わしたいような
晩酌の夜
グラスに注いだ葡萄酒の赤い血を
僕は一気に、飲み干した。