[:jostler
プテラノドン

車両で目覚めると自分一人。
一体、あいつらはどこで降りたのか?
今までにどれくらいの数をこなしたのか?
盗まれた僕の財布は
公衆のゴミ箱か、そこらの物陰で
息を引き取る―。運良く誰かが拾い上げたところで、
死んでいるのといっしょだな。

昔の女を思い出す。財布を貰ったのは初めてだった。
金回りが良くなったなんてことはなかったが
その革を通じて「呼吸する」ってのが分かった。

僕はホーム端から線路を渡り、
フェンスをよじのぼり地面に着地する。
一部始終を見ていた酔っ払いが罵声を浴びせる。
こういうのは誰のせいでもない。
お互い証明するものは何もない。
だからってお前、
振り上げたその拳はおろすなよ。
そのままだそのまま、
そこでちゃんと待ってろよ。


自由詩 [:jostler Copyright プテラノドン 2014-02-02 00:04:25
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