スノーマンと雪だるま
夏美かをる

 カーテンを開ければ あたり一面銀世界

「朝食食べたら、雪だるまを作ろう」
ホストファーザーが誘う
「えっ!でも私会社に行かなくちゃ!」
「えっ!何を言ってるんだい?こんな日に会社に行くバカいないよ」
「えっ!でも日本では雪ぐらいで会社休む人いないし…」
「えっ!こんな雪の中車を運転するなんて無茶だよ!」
 ボスに電話してみなさい」

恐る恐る上司の番号を押す
「ああ、今日は雪だるまでも作ってなさい。
 特別休暇あげるから」
そう、ここはアメリカだったんだ!
 
「ほらね!ボスまでそう言ってるんだから
 早く雪だるまを作らないと!」
ホストファーザーの目がキラリと光る

ホストマザー特製のブルーベリー入りワッフルを食べ終わるや否や
早速庭に繰り出す 八三歳と七九歳と三六歳
天から降り注ぐ白い魔法が三人を一瞬子供に戻す

大きな雪玉の上にちょっと小さな雪玉を載せて
石で目をつくって、人参の鼻をさし、
小枝で口をつけてあげれば
ハイ、できあがり!

隣を見れば あれ?
もう雪玉が二つできあがっているのに、
仲良く三つ目の雪玉をころがしている
「えっ!雪玉三つで雪だるまを作るの?」
「当たり前だろ!だって、頭と胴体と足じゃないか!
 君のはもう完成なの?足がないじゃないか!なんで?」
「なんでって…う〜ん、だるまだし…」
「だるまって何だい?」

ホストマザー特製のポテトスープで昼食を取った後
三人で散歩に出かければ
すらりとした長身のスノーマンが
そこにもあそこにも誇らしげに立ってる
ずんぐりむっくり体型の 我らが日本男児は
いささか居心地悪そうに 曖昧な笑顔を浮かべて佇んでいる

いつの間にか魔法の粉は降り止んでいて
雲間から光が差し込んでいる
きっと明日の朝
スーツを着込んだ私が車に乗り込む頃には
彼らはただの雪の塊になっているんだろう


自由詩 スノーマンと雪だるま Copyright 夏美かをる 2014-01-12 15:05:24縦
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