砂漠
itukamitaniji

砂漠

軽はずみで旅に出るなんて そんな僕を君は笑っただろ?
夢という鎧で武装して 年老いて時代遅れの心を隠した
弱音は外に出ないように 奴等はすぐに嗅ぎ付けてくるぞ
強気な言葉は他でもない 自分が揺るがぬよう吐いたものだった

ふるいにかけられる心 すり減って小さくなった分だけ
網の目をすり抜けて さらさらと落っこちていった
まだ足りないまだ足りないと さらに頑丈になってく鎧
自分自身の重さで 進む足がずぶずぶと沈んでいった

必要な時にはもう水はなくて 乾いた喉で叫んでいた
ここに居るよ気づいてくれよって 僕はずっと叫び続けている


これしかないと言った意味は 一体どんなだったろうか?
真の信念かただの諦めか それらは案外似ているものなのかも
いずれにしたって 歩いた分の足跡は紛れもなく砂に残って
風に消えることなく 今居る場所まで繋がっていた

そしてそれを振り返って 確かに自分が進んでいることを知る
もう引き返したって おんなじとこまでやってきてしまった
心にたった一つ残る 僕自身だけが意味を知っている
もうその希望に賭けるしか 他に道はなくなったんだ


身軽な者たちが どんどんと追い抜いて行くよ
翼を持つ者は嘲笑うように 軽く飛んでいってみせる
そんな器用な生き方 今さら自分にはできるわけがない
誰かに勝たなくても 自分には負けない生き方を

なかなか信じれないならば 疑い続けたっていいさ
諦めに似た旅の始まり そこから続く足跡を確かめて
心にたったひとつ残る 僕が僕自身とだけ交わした約束
もうその希望に賭けるしか 他に道はなくなったんだ

もうそれしか道なんてない


自由詩 砂漠 Copyright itukamitaniji 2014-01-09 03:17:43
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