編み物
チアーヌ

わたしが悪かったのだ
必要のないものをあげてはいけない
まして
友達がみんなやっているから
なんて理由で
不器用な手つきで
編み棒を動かしちゃいけない
人間暇だとろくなこと考えない
カーキ色のマフラー編み上げて
久しぶりに会った彼にプレゼント
なんてしちゃいけない
「ありがとう」
なんて言いながら
もらってくれた彼は
今思えばすごくいいひと
その場で嫌な顔しないだけでも
上出来
だからしばらくして
彼の部屋に遊びに行ったとき
それがぐにゃぐにゃに絡まって
こたつの下に落ちていたからって
ムカついちゃいけない
わたしの視線の先を見て
「あ、ごめん」
なんて慌ててそれをしまった彼
その日は確かまだ
回数にしたら一桁台
欲望のままに
することはしたけど
散らかった部屋の隅に
転がってた髪留め
わたしのじゃなかった
慣れないことするもんじゃないね
わたしってばかみたい
としみじみ思ったので
彼と会うのはやめた
それきり
編み物もしていない


自由詩 編み物 Copyright チアーヌ 2005-01-13 23:43:17
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