そんな世界で





よく わからない

人が
街が
景色が
過ぎた時が

よく わからない

あの日の嘘が
私の中で 歌い 踊り
そして笑っている
そんな日常も
それ自体 嘘のように思える

友人が
人の群れが
それぞれの方法で
私に語りかけてくる
その言葉が
私には
よく わからない
あちらこちらで
電話が鳴っている
誰も出ない
私しか居ない
誰も出ない
よく わからない

父が
姉が
家族が
粘土細工を続けている
見よう見まねで
私も後に続く
不恰好で醜い
名前のないものが
泣きながら
生まれて
ゆっくりと増えていく

母は作り方を間違えて
やり直せないまま
慌てふためいて死んだ
そして今も死に続けている

そんな世界で

人が生まれ
街が生まれ
景色が生まれ
時が過ぎていく

遠い
遠いこの場所で
私は明日も
よく わからずに
息をする
息をする

それだけが
いつかまで
続いていくこと

よく わかっている




自由詩 そんな世界で Copyright  2013-12-29 09:12:24
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