こわれもの
そらの珊瑚

冬の肌は
こわれもの

夕餉の火を落とし
手にたっぷりと
クリームを塗る
ひび割れから
そっとしみこむように

日常というものは
重力がある限り
何処に行ったとしても
そう変わらない
人の心は
こわれもの
こうして
修復を繰り返し
ほんの少しずつ
強くなっていければいい

あの日
手放してしまった
赤い風船が
求めた
空が
今も続いていますように

睡りというものは
自覚のない死と似ている
最期に
わたしに届いたのは
犬の遠吠え
ああ、漣のような
この真夜中の美しさを
抱きしめて
瞳をとじよう

たとえ明日
世界が終わっていようと


自由詩 こわれもの Copyright そらの珊瑚 2013-12-24 08:50:35縦
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