侵食する、それ

立ち止まる 私の中に
暮れていく 背中の中に
それは広がる 
そっと広がる
枯れて枯れない樹木のように
許されないあの嘘のように
追いかけてきて
そっと広がる


見上げたのは
夕暮れで
見下ろしたのも
夕暮れで

いつもそう
空、空、空

逃げても尚
空、空、空


焼き尽くされて
夜が来る
食べ尽くされて
朝が来る

青の部品は
壊れたままで
青の絵の具で
塗りつぶされる

それをやめさせられたなら
壊れた青を見れたなら
嘘で固めずすんだだろうか
朝を憎まずいれただろうか


そんなわけ、ない。
そんなわけ、ない。



壊れたものは
壊れ続けて
過ぎ去る時は
進み続けて

それ もまた
広がり続け
息をする

それ はただ
私と共に
息をする

泣きやまない赤子のように
降りやまない小雨のように



濁ったままで死んだ虹
空に憎まれたあの虹
虹は それ を見おろし
虹は それ を見上げて


青を、思っている
鈍く、光っている





自由詩 侵食する、それ Copyright  2013-12-21 16:59:25縦
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