卵を割ろう



卵を割ろう
明日へ向かって
気持ちよく朝を迎えるために
思いきり 卵を割ろう
大きくても小さくてもいい
それぞれが一つしかない
かけがえのない
そんな卵だ
空を飛ぶためでなく
食べられるためでもなく
ただここに存在している
そんな卵だ
そんな卵を
考えられる限りの表情を作って
ありとあらゆる感情をぶつけて
あなたの存在を主張するように割ろう
何もかもが砕け散り
黄身と白身が空中で踊り
あなたの今日を少しだけ汚していく
きっとそれは何の意味もなく
きっとそれは何も生み出さず
きっとそれは今日のまま
昨日になることもないだろう
開け放たれたままの冷蔵庫が
火がついたままのガスコンロが
しきりに何かを訴えている
けれどそんなことは
全く気にする必要はないのだ
空が青くあるように
夜が夜のままいられないように
そんなふうに
卵を割ろう
明日へ向かって
気持ちよく朝を迎えるために
思いきり 
卵を割ろう









自由詩 卵を割ろう Copyright  2013-12-15 22:22:10
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