しるし
大覚アキラ


スーパーで買った卵が
ふたつ割れていた

 ものごとには
 必ずしるしがある

リビングの時計の
電池が切れて止まっている

 ほんの些細な
 どうでもいいようなことだけれど

先週修理したばかりの
自転車のタイヤがまたパンクした

 何かが
 ダメになっていくしるし

お気に入りのカップを
ぼんやりして割ってしまった

 掛け違えたボタンのように
 噛みあわない歯車のように

きみと一緒にいても
いつもより楽しくない

 それはそう遠くない
 終わりのしるし


自由詩 しるし Copyright 大覚アキラ 2013-11-20 01:02:55
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