20世紀最大の謎
こめ


欠ける月の裏側

隣にいた乗客は

溶けて灰になっていた

塞いだ耳の奥からは

もう一人の僕が囁いていた

雑誌の名前も知らない女が

此方に微笑んでいるのは

レンズ越しに何を見つけたからなのだろう

寒いからカーディガンを羽織

靄のかかる朝の住宅街を

ふらふらと歩いていた

別に行く場所や目的はなく

ではなんの為に歩くのだろうか?

答えを知りたくて下を向いて

何か落っこちてないかさがす

ラブホテルのピンク色の

蛍光灯は見ることの出来ない

未来形をボンヤリ照らす

靴と影だけが深夜の街灯の下で

踊り躍りオドル

思いを砕いて電子にのせて

南の方へ飛ばした

高層ビルの天辺で光 る

赤いメッセージ信号

それが何にめがけ何を伝え用としているのか

20世紀最大の謎だった


自由詩 20世紀最大の謎 Copyright こめ 2013-11-14 10:25:48
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