パンドラ
itukamitaniji

パンドラ

空っぽだった宝箱 今でも大事に抱えている
のぞきこんでも ただ真っ暗闇が広がるだけ
楽しみにしていた期待も 蓋を開けてみれば
みんなみんな逃げていって どうってことなかった

真っ暗闇から声がする だからあれほど言っただろって

ずっとずっと閉じておけば よかったものを
失くさないで そんなに悲しまないですんだのに


空っぽだった宝箱 いつまで大事に抱えてんだ?
一滴の涙は 真っ暗闇の底へと吸い込まれていった
その時それは微かに動いた 空っぽの隅っこの方で
まだ名前がないそれを ひょいと大事に掬い上げた

真っ暗闇から声がする 聴いたことのない新しい声だった

僕はずっとここにいた 真っ暗闇に寄り添って
僕の名ならばなんとでも 好きなように呼べばいいよ
空っぽだった宝箱 ならば君が詰め込めばいい
君が大好きなもので 真っ暗闇がなくなるように 


自由詩 パンドラ Copyright itukamitaniji 2013-11-10 02:12:19
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