スノードーム
カワグチタケシ

このごろは誰も彼もが
この不完全な世界に嫌気がさして
あるいはまだかいだことのない素敵な匂いや
見たことのない景色
ダーウィン・フィンチ
新しいリズム 韻律をさがして
親しい友にさえいつ帰るとも知らせずに
旅に出る

ソルトレイクシティからアムステルダムから
届いたカードを眺めながら
スノードームに雪を降らす

もしも君がどこか遠い土地で
何日も続くリンゴとチーズとパンの食事で
自分をすり減らし目的を見失い道に迷ったとしたら
うらぶれた土産物屋に急げ
そこにはきっと見捨てられたスノードームがあるはず
それが君の旅の目的になる

俺はここにいる
君の夢を見たよ
変わり映えのない世界に
無軌道な魂を抱えたまま
いくつかのスノードームをたずさえて帰る
君を待っている

(土曜日の午後6時 東京は雨 気温20℃)



自由詩 スノードーム Copyright カワグチタケシ 2013-11-03 00:29:30
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