黒船
salco

帰宅早々インターフォンが鳴り
え? 宅急便?
受話器を取ると
「とりっくおあとりーと!」
子供達の雄叫びが両耳に飛び込んで来た
驚いた
かぼちゃランタンがそちこちに並ぶ時節
とうとうアクションが一般家庭に定着し始めたか

それでも半信半疑でドアを開けると
五、六人の小学生が隣家の門にとりついている
「ちょっと待ってねー」
言い置いて台所に戻り
テーブルのレジ袋は野菜と牛乳
電子レンジの上のスチール籠は
コーンフレークの食べ残し
たばこのおまけのフリスクと
こんにゃくゼリーしかない

「ごめーん、こんなのしかない」
ピーチ味のこんにゃくゼリーを渡して
 あ、ストッカーにキャンディーがあった
慌てて戻り
夏に買ったのど飴を
内心ガッカリな子達に配っておしまい
雪辱を誓う
でも来年来てくれるかな


自由詩 黒船 Copyright salco 2013-10-31 23:13:48縦
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