まわり道
あおば

                  131015



弾み車の振動を枕に
愉快な楽団員は眠る
ガラパゴス号に乗り込んだまま
帰ってこなかった男もいたが
射殺されなかったのだから
昔は良かった
老人が繰り言をルル述べて
生まれ変わって
水車小屋便りを読んでいる
ドーデーは機械仕掛けのオレンジ暗合を解読し
一粒で42.195キロメートル走り抜き
ハイブリッドカーの顔色を無くすクロレラ軍団を
一蹴りで20間走る弾み車が音もなく抜いてゆく
和賀郡勝利と叫ぶ声を聴き取った歴史に疎い対象は
笑顔のバクダンに酔いつぶれ
もう一杯と叫び続け
飲み過ぎて
目が回る
道路が
地球が
空が
自己責任を感じないまま暗転する太陽圏を抜け出した探査衛星ボイジャーは
束縛されたまま燃え尽きたヴァンガード人口衛星を羨んで
散文的な
余りにも散文的な下書屋をクビにして
退屈をもてあます弾み車を増産しては
仮想敵国に威力を見せつけている
いかなるミサイルにも耐えられる弾み車のアミダッポネ(阿弥陀骨、スポークのこと)を調整しては長靴で思いきり鉄製タイヤを蹴っ飛ばす軽量コンクリート設計に忙しい24階ビルの倒壊は
馥郁とした焼きたての
ローストビーフは調理室から回り道することなく工事現場に直行し
炭素繊維を束にして鉄筋を追い出したくてたまらないが
声なき声が結束する薄っぺらなハンドブックに阻まれて
勤勉な発泡スチロールの暗躍を阻止できず
和賀郡勝利疑い無しと甦った対象は
多目的ミサイル増産を明治
蹴り出された弾み車にぶつかって
アキレス腱切断
しばらくの車椅子生活を嫌い
愉快な楽団の音程を替えたがり
ガラパゴス号に乗り込んだままとなるが
その後のことは分からない

弾み車はどこまでも
わぅわうともいわないで
青空を切り裂いて
回り道もなんのその
太陽圏を脱けてった






初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
  タイトルは、みみずくさん



自由詩 まわり道 Copyright あおば 2013-10-15 15:02:49縦
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