怪物くん
あおば

                    131004



懐かしいなぁと思いながらも
作者は今頃どうしているのだろう
フランケンと一緒に遊んでいるのだろうか
それとも締め切りを気にしながら
PCのニュースを検索しているのだろうか
妖怪とも言えるかも知れないメンバーの頭領だから
偉いんだよと
バリアフリーの街を作ろうとしたが
満員電車は相変わらず狭い鉄路に犇めいていて
いつまで経っても戦時体制から抜け出せないで居る。

戦時規格貨物用電気機関車EF13型は戦争に勝つまで保てばよいとの方針で
必要最低限の機器しか持たない
ボディーも必要な機器を覆うだけの凸ボンネット型で乗務員の居住性などは考えていなかったかも知れない
狭い車内には絶対に必要な機器が犇めいていて夏場は暑くて堪らなかっただろうが、蒸気機関車よりは暑くないのひとことで片付けられていたのかもしれない
必要最低限の装備だったので機関車としては軽くなり過ぎて、16トン余りのコンクリートブロックを積み込んで
重たい軍用貨物列車を引っ張った
戦争が終わって
任務が解かれたはずなのに
引き続き戦後復興にも酷使され
戦後生まれの新鋭機EF58型旅客用機関車が流線型に格好良く改装された際の余り品の箱形ボディーに換装され
ケートルを巻いた兵士から作業着の市民に戻されたような格好で機器も追加され列島改造の1970年代まで働いた。

15日から運行の応募者殺到の豪華寝台列車「ななつ星」の来年度から販売の乗車料金が最高20万円値上げのニュースを読む
ダースべーダーに似た面構えの牽引機も得意そうに見得を切る
彼のパワーは戦時規格のEF13とそんなに違わないんだよねと思いながら
1960年代、鉄道雑誌の中央本線EF13立ち往生の短い記事を思いだす
週末、登山客満載の普通夜行列車が登り切れずに立ち往生してしまうのだ
夏だから
モーターには暑過ぎたのかも知れない
人が多すぎて重すぎたのは確かだ
短い夏を
短い週末を
夜行で往って夜行で帰る
文字通りの強行軍
それでもリクレーションになったのかしらと
残暑の満員電車でうろうろしながら空席を探す。






初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
  タイトルは、ぎわらさん。
  誤字脱字等は訂正しました





写真追加 2013年10月11日
1970年代初め、中央本線多摩川橋梁を行くスマートになったEF13型電気機関車。2両目の暖房車が2120型蒸気機関車改造のマヌ34型なのかは判別できませんが、恐らくそうではないだろうかと思っております。。





自由詩 怪物くん Copyright あおば 2013-10-04 23:19:40
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