ひとつまみの愛
梅昆布茶


僕が君にかけた言葉に
足りなかったひとつまみの愛

投げやりになって疲れ果て
忙しくってもこれにまさるスパイスはないんだ

わすれちゃあいけないひとつまみの愛
ありあまるものでは替えられない隠し味なんだ

ふたつをもとめてはいけない
さらに欲しくなるから

ひとつを分け合うんだかけがえのなさをね

ほんのわずかなことだけれど
たったこれだけのことさえ僕はいつも忘れてしまう

そうたったひとつまみのぬくもりで
生きて来たはずなのに

それ以上なにを必要とするのか

いまになって思うのもおそいけれど
僕に足りなかったものを取り戻そうと思うんだ

いつかこの健忘症がなおるまで何度でも
ただそれだけを願いながら

多くは手のひらをすり抜けてさらさらと落ちてゆくもの
そのなかのただひとつまみがわかるまでいつまでも



自由詩 ひとつまみの愛 Copyright 梅昆布茶 2013-09-21 20:32:04
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