夕暮れが突っ立っている

赤く染まっていく電信柱の向こうに
夕暮れが突っ立っている

突っ立っているその背中めがけて
君が思い切りボールを投げつける

力の限りの全力で
見渡す限りの赤空へ
思い切りボールを投げつける

電信柱を追い越して
高く高く飛んでいくボールは
しかし どこにも届かない
どこにも 誰にも届かない
夕暮れの背丈は子供の用に伸びて
ボールからゆっくりと遠ざかっていく

それでも君はボールを投げ続ける
どこにも 誰にも届かない
キャッチボールを続ける


やがて夕暮れは
月と挨拶を交わして帰って行った
そして今
夜に染まる電信柱の下に
君が突っ立っている

まだどこにも
会話を終わらせるきっかけを見つけられずに
君が一人 突っ立っている


自由詩 夕暮れが突っ立っている Copyright  2013-09-13 00:40:03
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