「逆光」
桐ヶ谷忍

餞別のように落ちる薄い黄金色

夕暮れの中、分かれ道で向き合う
明日の約束はしない
それは暗黙のうちに行われるもの
実際に小指を絡ませて約束しても
安心には繋がらない

また明日

そんな言葉
軽々しく言ってはいけない
また会う日までさようなら
正しい挨拶
君は何も言わずただ手を振る
それもまた正しい

私の顔が見えていたろうか
君から見て逆光の中で手を振り返した私を
私は笑ってなんかいなかった
君は笑っていた
薄い黄金色の笑みを

明日また

会えるのだろうか
明日もまた今日までのように
蹴り飛ばした石はいつかは確実に止まる
会えなくなる日もいつかは確実に来る
もしまた明日があったら

私はまた、逆光の中で手を振るだろう




自由詩 「逆光」 Copyright 桐ヶ谷忍 2013-09-06 07:23:54縦
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