秘色色の着物
朝焼彩茜色

一喜一憂のか弱い恋のように 景色を望む
青年のような険しさのない山々が霧に浮いている

秘色色の溶け出した湖に浮かぶ 着物もその景色も同じ色
克己を失くしかけた心に 見送る小船の一人 青年の彼方に旅立つ

徐に控えながら揺れる秘色色の湖 一喜一憂のか弱さの溜息で
瞳に厳しい揺れを暮れる

感情に唯一の味方の風さえ 吹かない 瞳に厳しい吹き
幸せの切り草の破片をお守りにすることは罪のように

瞳に厳しい景色

巴にはなれない 見送る小船の一人

胸の優曇華が姿を見せずに咲く
見せたかった 見送る小船の一人

秘色色の溶け出した湖に浮かぶ 着物も同じ色
胸の優曇華が咲き誇っても 見送る小船の一人を

廻りに懇願を弔うような 淋しい景色 秘色色

三千年の待ちを 足もなく 同じ色の着物が揺れ浮かぶ


自由詩 秘色色の着物 Copyright 朝焼彩茜色 2013-08-12 16:11:11縦
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