家族の肖像
梅昆布茶

幼い子供達とはあまり遊んだことがなかった 家のローンがのしかかっていた

人生でもっとも不要なもののために 一番大切なものをないがしろにしていた

時代の風は遥か家族の上空を吹き過ぎて行ったさ

もう十年も会わなければ家族と言えるのだろうか 子供達も成人しているとはいえ父親をなんと思っているのか

不甲斐ない親であった 知恵もなく金もなく地位も無い ただむやみに働いて酒を飲む

若き日の文学青年の成れの果て 子供らよ嗤うがいいさ それが真実だから

妻よ世話になった ろくでなしの妻は大変だったろう まあこれからは楽してくれよ

僕は孤独と自由の比率を 僕の命に合わせてブレンドして生きている

愛は欲しいが それだけでは生きられない もうこの歳では恋愛もままならないが

いいんだ息子らよ 自由に生きてくれ 何か有ったら助けにゆくから

千葉はちょっと遠いが お前ら死ぬまで俺の息子だ 覚えておけ

父は一生旅を続ける 歌をうたいつづけるさ 愛について哀しみについて お前達について

言い残したい事は 山ほどあるんだ 恥ずかしい親父の話をいつか聴いてくれよな

僕はもう孤独では無い もう死が友の範疇の人間なんだ そう優しい死が僕を待っている

刹那に生きるのももういいのだ インプロビゼーションはうんざりだ

たいしたギタリストでもないし 下り坂の人間はどうでもいいんだ

僕は家族を社会的に歴史的に捉える 子供と俺

まあよく十八年も暮らしたな また孤独 そう大好きなんだ いつもの事さ

家族 そうかそれも大好きだ

また作る事も考えてみようか

みんな輝いて欲しいんだ!



自由詩 家族の肖像 Copyright 梅昆布茶 2013-07-24 16:18:09
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