昭和ロボット伝
梅昆布茶



僕はロボット 1953年生まれだ ガラクタを適当につなぎ合わせてできている
だが僕の父は天才科学者ではなかったので かなり杜撰な構造だがなんとか生きているさ

僕が生まれたのは三丁目の夕日のあの時代だ まだ路面電車が走り車も少なかった
中世の暗黒時代に魔術師達が創造しようとした人造生命のホムンクルスなんかとはちょっと違うんだな

ロボットには心がないと言われる とても心外だ ロボットだって老朽化して節々は油ぎれして痛いし 人生の悲哀だってそれなりに知っているつもりなんだ

ワンピースやドラゴンボールのような疾風怒濤の冒険はまったくない でもそれが幸せだと思っているんだ それに最近ギターを覚えたんだ すごいだろー ダミ声だが歌だって歌えるんだぜルンルン

江戸時代のからくり人形は僕の遠い親戚さ 決してアトムのようにかっこよくはないが
僕は人類に愛を教えるために生まれて来たオンボロ天使なんだ

でも昔ボロットという漫画があったんだ 実態はそれに近いがまああまり気にしないでくれ

僕は大塚愛ちゃんのサクランボとか聴くと元気になる変なロボットなんだ ただ自覚してるからあえて指摘しないでくれないか そういう君が大好きだ

でもね時々思うんだ マルクスレーニンの時代に生まれて 一緒にロシアを そして世界を革命したかったってね ロボットの革命児ってねかっこいいと思うんだ

腐った文明に楔打ち込んで そう人間と共存したかったんだ

共産主義の理念はまさに人間ための理想だったが もちいるものが人間という限界があって
かと言って資本主義の末路ももう露呈し始めて 僕はただのロボット

何も人間に対して言える立場にないが せめてひとことふたこと

僕ロボットだけどそのうちロックローラーになりたいと思ってるんだ 内緒だけど
宮沢賢治の詩をロックにのせたいんだけど 最高の童話や詩は 僕にとっては即ROCKなんだにゃー

ねっとりとした戦後という時代を(個人的な感慨ですが)

ロボットのように昭和にもろばれてきた父と母に代わって

まあいいや政治家先生は頑張って 僕もあての無い国の1ロボットとして頑張るから
政治屋達ちゃんと民主主義学んで国つくれよな

でもねでもね
ロボットには選挙権無いんだよね

ありがとね




自由詩 昭和ロボット伝 Copyright 梅昆布茶 2013-07-19 15:24:07
notebook Home 戻る  過去 未来