峠を超える
梅昆布茶

山の入り口からただ一つの一軒家を過ごして笹の攻める狭い道をゆく
獣でさえ通いそうなこの道で行く末を想う

知り合いはいない ただ一人 風はやや強いがしのげるほどだ

もう末もない人間が何を想う必要があるのか いや生きている限り想いはある

石に命を刻む 路傍の石だ 心 とでも刻もうか

峠をめざす 誰もいない 山はいつも立ちはだかっている

いつもバイクで山に登っていたが 徒歩で挑む それって本当の人生

廃屋の人生で何を見るのか ゆっくりと死んでゆく 大好きな時間 間の抜けた間投詞

いつも女性特有の美意識にやられているさ それでいい 大好きだもの

今僕にボブディランが歌えるのだろうか 自分の歌さえなくて

山の頂上は見えるが 歌の頂上は見えない 詩の頂上はもっと見えない

いつか保護色をはいで 自分をゆっくりさせたい

峠はいつもある それは必然だ 狭い笹道だ

でもね 待ってるものが僕を生かしてる それが生命 それが愛

峠は僕のためにあるんだ


自由詩 峠を超える Copyright 梅昆布茶 2013-07-14 00:27:38
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