ねがえり
そらの珊瑚

水中花は
水がある限り
生き続けます

におい
こえ
てざわり
ある種の予感
見えはしないのに
確かに在ったものたち
次は
何に生まれ変わりますか?

一秒に
『チョモランマ』と三回唱えることが出来れば
願いごとが叶います
改札をくぐり抜ける人はみな
『チョモランマ』とつぶやいていた
それでも十人にひとりくらいは
『エベレスト』と言う
誰かにとってのチョモランマは
別の誰かにとってのエベレストだから
誰かにとっての願い事は
別の誰かにとっては呪いかもしれなくて
とりあえず
ボン ボヤージ!

雨あがりに
庭でシャボンをとばす
その
ひとつひとつに
少女は虹を架ける
シャボンは
いつだって空に届く前に
はかなく割れる
あるものは
虹の記憶を持って漂い
あるものは
成仏できなかった魂として
はざまを浮遊している

そこから先に行くには
契約書に署名してください
名前が思い出せなかったので
でたらめに書いた
それでは捺印を
なければ拇印でも結構ですと
兎に詰め寄られる
私は渦状紋をとられまいと
指をぐーにして逃げた

底なし沼は嘘つきだった
底がないように見せかけて
実は
底は存在する

それらは夢の断片

ねがえり、を打つたびに
灯がついて
私は
現実に戻された
朝になり
枕の下から
電球のスイッチが見つかる
ねがえり、
ねながら、
かえること


自由詩 ねがえり Copyright そらの珊瑚 2013-07-10 10:51:34縦
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