夏の日めくり
佐東
*
わたしの水筒は
風邪をこじらせて
夏がくる前に
しんでしまった
(ヒマワリのたねを四粒入れて
からからと振ってやる)
からん
からん
からん
からん
(あっけないほどのあおい空)(黙礼)
*
国道191を背にしながら
ふたこぶラクダのゆうれいの隊列が
まぼろしの水を
はこんでゆきます
(たいようのにおいの するほうへ)
*
ありふれた
七月の葉脈を滲ませる
朝の先端で
白く手向ける
あさがおのように
泣いている
名まえのない波うち際に
うちあげられた 麦わらの
おさない夏の
(ねむりを一つ おぼえる)
*
とおざかる
あおい水の あさいねむり
(日めくりは まだ ふやけたままで)