夏の日めくり
佐東



わたしの水筒は
風邪をこじらせて
夏がくる前に
しんでしまった
(ヒマワリのたねを四粒入れて
からからと振ってやる)
からん
からん
からん
からん
(あっけないほどのあおい空)(黙礼)



国道191を背にしながら
ふたこぶラクダのゆうれいの隊列が
まぼろしの水を
はこんでゆきます
(たいようのにおいの するほうへ)



ありふれた
七月の葉脈を滲ませる
朝の先端で
白く手向ける
あさがおのように
泣いている
名まえのない波うち際に
うちあげられた 麦わらの
おさない夏の
(ねむりを一つ おぼえる)



とおざかる
あおい水の あさいねむり
(日めくりは まだ ふやけたままで)







自由詩 夏の日めくり Copyright 佐東 2013-07-04 00:22:36
notebook Home 戻る