夏音〜KANON〜
Rin.




血潮、とノートに書いて貝殻のなかにたしかに海があったと

隣席のヘッドフォンから砂の音が聴き分けられる夏の江ノ電

ふたりで海を見たのは一度 いつまで、と互いに決められないままいたね

八月が白く塗られてまなうらに薄くさびしく光を残す

私が雨を描くがごとくあのひとは海でせかいをぼかして歌う

あの遮断機まで走ろうか ゆうやけの色はずるいとおもう放課後

許すことってなんだろね雨の朝あいたいと感じた3秒間

「あのころ」に戻ってみたいという君の「あのころ」にない季節をわたる

ふいと掬う浜辺の砂がこぼれゆくように過ごした夏は遠景






短歌 夏音〜KANON〜 Copyright Rin. 2013-06-19 21:48:38縦
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