おさらい
そらの珊瑚

閉じられた瞼は
眼球にやさしくかけられたさらし布
或いは
フリンジのついた遮光性の高い暗幕

時折
なにかに呼応して
波打つように
揺れる

ベビーカーのハンドルに止まったちょうちょ
公園の樹に光る雨のしずく
湿り気を帯びた風の匂い
犬が吠える
つかめた自分の足の不思議
泣けば
与えられる白い血液の旨さ
笑えば
世界は笑いかえしてくれる魔法
言葉をまだ持たない君は
その瞳に記しているのだろう
そして
精密かつ柔らかな鎧戸のなかで
夜ごとに
おさらいは繰り返されて
さかなであった記憶とひきかえに
君は
ひとになっていく


自由詩 おさらい Copyright そらの珊瑚 2013-06-08 11:11:18
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