太陽の王国
梅昆布茶

その神殿は太陽に向かって開かれていた 聖餐に若い処女が捧げられた

雨が大地を潤す頃 僕の大好きな人は太陽に嫁いで行った そこは太陽の王国だった

神話は陽光に満たされ 北国の花嫁たちが掠奪され 太陽の種子を孕んでいったものだ


礼拝は人びとのこころを満たし 乖離したものを隠してしまったのだ

関係性を現す言葉は いつも風化して再現される 文明の階段は海底へと続いている


惑星は太陽の血を分けた子供 海は生命の発端 いつか大地と水は呼び合ってしまうのか

言葉は秘密を解き明かす呪文 生命は解答を求めているパズル


太陽の大陸は歴史をのみこんで 沈んでゆくゆっくりと

いずれアトランティスと呼ばれることも知らずに


幻のアトランティス この街かもしれない

僕の故郷は 迷路の果ての酒場 安い女しかいない


太陽の王国は こころにある

いつもある どこにでもある

そんなもんさ






自由詩 太陽の王国 Copyright 梅昆布茶 2013-06-07 17:07:29
notebook Home 戻る  過去 未来