絶対零度
梅昆布茶

氷結の果て薔薇が粉々に砕け散るように君は振舞う
北氷洋に落ちた水夫のように僕は凍えているのだ
あるいはさまよえる鯨のように冷たい海を泳ぐのさ
冷え切った心は容易に癒されはしないさ

氷の華咲く心は君の世界だ僕に冷たい息を吹きかけないでくれ
ブリザードなんていらないさ僕は温もりだけが欲しいんだもの
少なくとも僕には血肉を分けあったおんなでいて欲しかった

絶対零度の孤独は生命の原点でもあるのか
暗黒のなかで育まれ孤独を成長して来たそしてまた暗黒に溶けてゆくのだろう
太陽系の歴史を縦断して普遍の原理に生きたいのだ
たかがアフリカ原産の種ではあるが温度を忘れないように

赤道を通過する難破船のように今も温度を求めて生きる
爬虫類のように進化の途上の仲間や死滅した種やすべての哀しみを抱えて
だから今発信するすべての世界に温度が伝わるように

そう君に僕の体温が汗が脈拍が命が伝わるように
祈っているだけなのです

いつかまた会うために




自由詩 絶対零度 Copyright 梅昆布茶 2013-06-04 10:21:42
notebook Home 戻る  過去 未来