孤独な亀
梅昆布茶

インディペンデンスを望んだ亀は地平線に向かって歩む
燃え尽きない幻想を追って疾走する夢を見ながら
彼に自嘲は似合わない悲壮がよく似合うのだ
孤独な亀は金色の月をのぞむそして嘆息する

世界は彼に流転と無常を強いる
長い間その胸を焦がしたものそれは生きてゆく意味なのだが
彼は自分が何者なのか知りたかったのだ
輝いていたい荒れ果ててもみたいやさぐれていたかった

苦悩という平和を愛という不実を風の音に聴きながら
うつらうつらとまどろむ午後もあったが
大概は心がさざ波だって我にかえって目醒める

孤独な亀は蒼い地平線をのぞむ
ちっぽけな爬虫類は
今日も甲羅の中に
世界を秘めているのだ




自由詩 孤独な亀 Copyright 梅昆布茶 2013-06-04 07:50:14
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