カラカラ
ただのみきや

 風に吹かれて空き缶が
 ゆるい傾斜を上って行く
 カンカラ転がり上っては 
 カラカラカラリと下りてくる
 あの風が止んでしまえば
 あとは 下りるだけ
 底の底まで落ちぶれて
 それも自然なことだろう


 働けるという幸い
 働かなければならないという辛さ
 食べて行ける幸せ
 食べて行くための戦い
 陽気なお日様に頬を弄られ
 固い道路に踵を削られながら
 ドラッグストアの駐車場
 虚ろな自分の顛末を見極めたくて


 このまま行きつ戻りつなら
 勝ち負け論で人生を割り切るのも良し
 だが 車に引かれてペシャンコとか
 誰かに拾われリサイクルボックスなら
 偶然を装った運命の細い手を
 こちらから握ってみるのも悪くはない  
 そうら 風が吹いて来た
 笑えよ笑え呆気らかんと
 転がれ転がれ素っ空漢と



自由詩 カラカラ Copyright ただのみきや 2013-06-01 23:45:15縦
notebook Home 戻る