沈没船の独り言
梅昆布茶

かつて僕は七つの海を知っていた
もちろんエーゲ海や神々でさえ

風は僕の味方僕は自由に世界中の港に停泊したものだ
もちろん君たちのジパングも遠い昔訪れたさ

僕にはエンジンというものはないんだ
ただ風と帆と宇宙だけが推進力

君は一角獣を知ってるかい
とてもね賢い奴なんだがいまは幻想の生物さ

言葉は世界を規定するが僕はソシュールなんて知らない
僕は世界をそのままで認識しているから言語はわかるが要らないんだ

僕がわかるのは君のこころ
とってもなナイーブさ持ち歩くのは大変なんだよな

君は詩人とか呼ばれてるらしいが
だったら僕の響がわかるだろう

けっこう沈没船は賢いんだな
アトランティスの栄華と空飛ぶ船

黄金の飛行船車は程よい調和を奏でてそれはそれは
美しい国だったんだ

君たちは理想を追いすぎて失速しているイカロスみたいに
ゆっくり僕のように行こうや

僕は海底に沈んでいるがずっと見ている
君たちの行方を

それが使命だからね



自由詩 沈没船の独り言 Copyright 梅昆布茶 2013-05-23 11:05:33
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