イクラ祭り

わっか付きのちぎった羽の訪れ
骨を噛む眩んだ羊の群れ
瀞の辺りでまどろんでいる都市と
数々の海に影が落ちる

彼女の小さい舌
ミルクを舐めるときのように
チーフの端を燃やす
彼女のそのそぶり
黄色くなった肉の
溶けた辺り

泡が浮かんでくる夜
自分の指のなくなった男が
彼女をテレビン油にしようとする

うつく、しい

跡から辿られていくコンクリートの
間を通り抜けていく水は
堆い虫に食い尽くされた
松明が近づくと
彼らは罅に潜り込んだ

アスファルトに落ちた唾
空き缶の滴
彼女の涎

白線より遠くに撒き散らされて


自由詩 イクラ祭り Copyright  2013-05-18 22:11:19
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