王様とピエロ
多紀
王様は絵画の中に
閉じ込められた
もうその存在も感情も
何もない
そしてピエロは解放された
ああもう貴方の為に
わたしは
笑わなくても良いのだ
泣かなくても良いのだ
わたしは人の哀しみを
売り物にしています
わたしはそれでご飯を
食べています
だからわたしの身体は
哀しみでできています
王様 貴方は
好い人でした
皆は気付かなかった
寂しい貴方の魂
寂しい貴方の美術館
わたしは人の哀しみを
売り物にしています
わたしはそれでご飯を
食べています
だからわたしの身体は
哀しみでできています