清明 (せいめい)
nonya


晴れた眼差し
明るい歯並び
踵の擦り減った靴が喜んでいる
コンビニまでの三百歩の散歩

晴れた声色
明るい口答え
言葉はうっすらとシュガーコートされて
許容範囲が拳二つぶん広がる

いきもの達のにおいを
浅く呼吸しながら
またしても春を生きる

ゆるやかな風の中で
負の病葉を数枚
こっそり手放しながら
のっそり春を生きる

背中のあたりから始まった
赤血球のシュプレヒコールが
やわらいだ唇にさしかかる

水色の空を三度吸い込んだら
がらんどうは微笑みで満たされて
要らなくなった言葉が春へ

春の爛漫の只中で
消えて無くなった





自由詩 清明 (せいめい) Copyright nonya 2013-04-06 11:01:04
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