奇形と世界
葉leaf

四つ葉のクローバーはたまにあった
摘んでみると奇形だということが分かった
君もまた奇形だった
五体満足だったが理知の骨がない
幼年の輝く混沌、その奇形
大きな闇に覆われ、大きな光に開かれていた
すべてを見つめる瞳はすべてを見抜けなかった
蝶に差し伸べた手を
大人にも差し伸べるのだ
君にはそれができなかった

夕暮れには全てが溶けていって
月には全てが集まっていって
あまりの見事さに
君はさびしかった
朝には鳥たちの声が散らばり
通学路には草の花が散らばり
あまりの豊かさに
君ははずかしかった

おやつの時間は
世界の始まりよりも早い
遊びくたびれて帰る時間は
世界の終わりよりも遅い
あの子からもらったチョコは
隠したけれど家族みんなが知っていた
それは世界の大きさよりも大きかった



自由詩 奇形と世界 Copyright 葉leaf 2013-03-26 16:18:50
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