自由舞踏派宣言
ただのみきや

  ――なんの欠如を
    怖れているのか


 踊りたいから踊るのだ
 何が悪いか阿呆ども
 元来人は踊るもの
 踊って歌って
 笑って泣いて
 怒れるものが人なのだ

 鳴り響く音に身を委ね
 内なるビートに身を任せ
 踊りたいから踊るのだ
 だが踊らされるのは真っ平だ

 命令だったら従おう
 頼みごとなら一肌脱ごう
 だが暗黙の掟なぞ知ったことか
 空気が読めない訳じゃない
 だが空気がいったい何ほどのものだ

 踊るときには踊るのだ
 誰の前でもどんな時でも
 拍手喝采受けようと
 野次られ石を投げられようと

 踊りたいように踊るのだ
 流行りなんて病だけで十分だ
 おれの中には楽士がいる
 太鼓を響かせ弦を爪弾き
 笛やラッパを吹き鳴らす

 おれはカーニバルの夜の揺らめく炎
 結婚式の鐘の響きに走ってくる子供たちの歓声だ
 おれは土の匂いを運ぶ風 種蒔きと刈り入れの仕事歌
 戦いのために身を飾った誇り高き戦士たちの舞踏 
 古の悲劇を歌う盲た吟遊詩人の抑揚
 ロックンロールで腰を振るいい歳こいた少年だ

 踊りたいから踊るのだ 
 何が悪いか阿呆ども
 元来人は踊るもの
 踊って歌って
 笑って泣いて
 怒れるものが人なのだ


自由詩 自由舞踏派宣言 Copyright ただのみきや 2013-03-02 19:25:16
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